フッ素樹脂加工大手の中興化成工業(東京・港)は、建築業者に供給するテント膜材の生産能力を三割引き上げる。環境に優しいことから北京五輪のメーンスタジアムの屋根の内幕に採用されるなど、認知度が上がっていることに対応。従来のスタジアム向けに加え学校の体育館や商店街のアーケード屋根など新規の用途開拓も急ぐ考えだ。
膜材の商品名は「フッ素樹脂膜材」。松浦工場(長崎県松浦市)の量産工場に約三億円を投じ、来年三月末までに生産能力を年間二十五万平方メートルから約三十二万平方㍍に増やす。需要動向次第で一層の増産も検討する。
フッ素樹脂膜材は、ガラスファイバーBヤーンクロスに四フッ化エチレン樹脂を同社独自の方法でコーティング。耐熱性や不燃性があり、物質が付きにくい非粘着などの性質もある。
一般的に用いられるスチール屋根の三十分の一程度の重さで、太陽光の七五%程度を反射するため光熱費なども含めたランニングコストが少なくなるのが特徴。昼間の人工照明が不要でフッ素樹脂膜材を通した太陽光は影の少ない自然な拡散光になり、屋外と同様の色調が得られるという。
東京ドームなど国内外の大規模スタンドの観客席の上屋などで既に採用されているが、従来向けの国内の需要は頭打ち。そのため、海外向けのほか、文部科学省などに公立学校の体育館などでも採用するよう促す。
同社の製品は北京五輪のメーンスタジアム「国家体育場」(使用面積約六万平方メートル)のほか、タイ・バンコクの新国際空港(同約十五万平方メートル)で採用されている。