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「PTFE製ダイヤフラム」が超モノづくり部品大賞 モビリティー関連部品賞を受賞しました!

  • お知らせ
  • 2025/01/29

この度、当社の「PTFE製ダイヤフラム」が第21回超モノづくり部品大賞において「モビリティー関連部品賞」を受賞しました。この「PTFE製ダイヤフラム」は世界初のピンポイント月面着陸に成功した小型月面着陸実証機SLIMに搭載されています。

超モノづくり部品大賞とは?

超モノづくり部品大賞はモノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催し、日刊工業新聞社とNPO法人ものづくり生命文明機構による審査委員会にて「機械・ロボット」「電気・電子」「モビリティー関連」「環境・資源・エネルギー関連」「健康福祉・バイオ・医療機器」「生活・社会課題ソリューション関連」の6分野を対象とした日本のモノづくりに寄与する卓越した部品・部材を広く募集、審査、表彰する賞です。

 

ふっ素樹脂製品「ダイヤフラム」とは?

ふっ素樹脂製品「ダイヤフラム」とは、ポンプの機械部分と送る液体を隔てる弾性の「膜(まく)」のことです。 一般的には金属やゴム製のものですが、今回当社が製造したダイヤフラムはふっ素樹脂(PTFE)100%で【直径830mm、高さ160mm、厚さ0.6mm、質量約4.0㎏】と、とても大きな製品です。局所ごとの厚みも違い、高精度の切削技術で製造されています。

当社では、厚み違いでも切削できますので、ご興味をお持ちいただけましたらお気軽にご相談ください。

「SLIM」のどの部分に活用されたの?

当社のダイヤフラムは月探査機「SLIM」の主構造である燃料・酸化剤を貯蔵するタンクの中の酸化剤を貯蔵する部分に使用されています。 「SLIM」は月周回軌道に投入され軌道調整時や月面着陸時に逆噴射して燃焼させますが、噴射させるためにはダイヤフラムを凹ませる動作が必要になります。 従来はチタン製のダイヤフラムでしたが、「金属だとへこみの動きが硬い・重たい」という課題がありました。 そのため、酸化剤に触れても変化しにくく、金属と比べて軽量で柔らかい「ふっ素樹脂」が選定されました。

ふっ素樹脂は、汎用樹脂とは異なり、耐薬品性・耐熱性・耐候性・滑り性など様々な特性を併せ持つ高機能プラスチックです。なお、当社が製造した他のふっ素樹脂製品は「滑り性」の特長を生かして、JAXAのH2ロケットやH3ロケットのエンジン摺動部材にも採用されています。

*タンク内概略図参考資料:JAXA「SLIM Project概要説明資料」

<凹んだ状態のダイヤフラム>

 

どうやってふっ素樹脂製品「ダイヤフラム」が開発されたの?

2014年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から直接、「SLIM」探査機の開発に向けて「ふっ素樹脂製のダイヤフラム」の開発のご相談をいただき、開発がスタートしました。

開発の過程では「ふっ素樹脂を薄く加工する難しさ」が課題となりました。 ダイヤフラムを軽量化するためには、ふっ素樹脂の薄肉化(厚さを薄くすること)が求められます。ふっ素樹脂は変形しやすい樹脂のため、高精度の切削加工が難しいことに加え、薄さが変わることでダイヤフラムの動きにも影響が出るため、要求される動きや加工精度を具現化するのに苦労しました。

しかし、これまで培った加工技術を応用し、加工時の固定方法を工夫することで、約1mm以下の薄肉化に成功しました。また、ダイヤフラムを取り付けるタンク本体を開発する三菱重工業の開発拠点 が同じ長崎県内にあるため迅速な試験、試作を繰り返すことができ、完成に至りました。

 

最後に…

これまで、当社はふっ素樹脂の様々な加工に挑戦してきました。今後はこれまで以上に幅広い分野でお客様のお悩みに沿えるよう努めてまいります。 これからも長年培ってきたトップレベルの技術力と、お客様のお悩み解決のために新しいものを生み出そうとする企業姿勢を強みに、陰ながら多くの人の生活を支えたいと思います。

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