CHUKOH Journal

生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの違いは?それぞれの特徴や製品を紹介

  • 製品コラム
  • 2023/12/18

化石資源を燃料としている一般的なプラスチックは、私たちの生活に欠かせないものとなっている一方で、燃焼時にCO2を排出したり、分解しにくいことから海洋プラスチック問題や世界的な環境問題に影響を与えています。
そのような中、“環境にやさしいプラスチック”として注目されている生分解性プラスチックとバイオマスプラスチック。
この記事では、生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックがどのようなものなのか、ふたつの違いやそれぞれの特徴について解説いたします。

生分解性プラスチックとバイオマスプラスチック

・生分解性プラスチックとは?

生分解性プラスチックとは、読んで字のごとく、生物の働きにより分解する性質をもち、分解するという機能に焦点を当てた呼び方になります。原料はトウモロコシなどの植物が主ですが、「原料」に関しては言及されません。通常のプラスチックと同様に使うことができるにも関わらず、使用後は自然界に存在する微生物の働きで、分子レベルにまで分解し、最終的には水と二酸化炭素となって自然界へと循環する環境に優しいプラスチック素材のことを、『生分解性プラスチック』と呼びます。

・バイオマスプラスチックとは?

バイオマスという言葉は“再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの”を意味します。つまり、植物由来でできたプラスチックになり、原料の焦点を当てた呼び方なので「分解」するしないは言及されません。通常のプラスチックと同様に使うことができるにも関わらず、植物由来を原料としているため製造時には二酸化炭素が発生せず仮に廃棄時の燃焼等で二酸化炭素が発生しても実質的には大気中の二酸化炭素を増加させていない、というロジックで環境に優しいプラスチック素材になります。
このようなロジックをカーボンニュートラルといいます。

生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの違い

このように生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの主な原料は両方ともトウモロコシやサツマイモ、ジャガイモ、サトウキビといった植物です。
生分解性プラスチックは使用後の視点で『自然に還ることで環境に優しいプラスチック』で、バイオマスプラスチックは原料の視点で『製品の製造過程において環境に優しいプラスチック』といえます。
植物由来で自然に分解される生分解性プラスチックの方がより自然循環型にちかく環境に優しいプラスチック素材です。
しかしながら、分解しやすいという特性から使用期間が限られることで製品化される用途も限られます。
なお、生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの総称として『バイオプラスチック』と呼ばれています。

特徴と種類について

・生分解性プラスチックの特徴

◎分解性
生分解性プラスチックは生物の働きにより完全分解する性質があります。一般的なプラスチックは、酸化型分解性といわれ、光や熱を受けて添加剤の作用で崩壊しプラスチックがバラバラになります。この現象がマイクロプラスチックにあたります。

【分解写真】

生分解性プラスチックの分解写真

【分解レベル】

生分解性プラスチックの分解レベル

・生分解性プラスチックの種類

生分解性プラスチックの種類は大きく3つの区分に分けられます。

1:バイオ由来

ポリ乳酸(PLA)と呼ばれるトウモロコシやサトウキビなどの植物の糖類を重合させた種類の原料や微生物がもつエネルギー物質であるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)と呼ばれるポリエステルを体内に蓄積する特徴を利用した原料のこと。

2:化石由来

主に、水に溶ける性質を持つ水溶性の高分子ポリビニルアルコール(PVA)や医療用縫合糸として利用されているポリグリコール酸(PGA)など、無害で非毒性の化合物に分解される生分解性ポリエステル原料のこと。

3:バイオ由来と化石由来のミックス

木材や綿花などのセルロース(多糖類)を原料とした酢酸セルロースや植物由来のコハク酸を原料に用いたBioPBS™など、バイオ由来の欠点である耐熱性や相溶性、柔軟性などを改善しながらも最終的には水と二酸化炭素に分解できる原料のこと。

生分解性プラスチックの種類

PVA:ポリビニルアルコール、PGA:ポリグリコール酸、PBS:ポリブチレンサクシネート、PBSA:ポリブチレンサクシネート-co-アジペート、PBAT:ポリブチレンアジペートテレフタレート、PETS:ポリエチレンテレフタレートサクシネート、PE:ポリエチレン、PP:ポリプロピレン、PET:ポリエチレンテレフタレート、PTT:ポリトリメチレンテレフタレート、PVC:ポリ塩化ビニル、PS:ポリスチレン、ABS:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、PC:ポリカーボネート、PBT:ポリブチレンテレフタレート、POM:ポリアセタール、PMMA:ポリメタクリル酸メチル、PPS:ポリフェニレンサルファイド、PA:ポリアミド、PU:ポリウレタン、PLA:ポリ乳酸、PHA:ポリヒドロキシアルカノエート、PHBH:3-ヒドロキシ酪酸・3-ヒドロキシヘキサン酸共重合ポリエステル

・バイオマスプラスチックの特徴

◎豊富な加工製品
バイオマスプラスチックの種類は、原料の種類が生分解性プラスチックと比べると豊富にあります。
そのため、レジ袋、包装容器、包装フィルムのインクや繊維製品、電気・情報機器、OA機器、など加工製品は多岐に及びます。

・バイオマスプラスチックの種類

バイオマスプラスチックの種類も大きく2つの区分に分けられます。

1:バイオ由来

最も代表的なバイオPE(バイオポリエチレン)はサトウキビを発酵により糖、バイオエタノールを製造しエチレンを精製、重合することでポリエチレンを製造します。サトウキビの生育で酸素が発生するため、石油由来のポリエチレン(PE)と比べると製造工程で二酸化炭素の排出量を最大70%ほど削減できるとされています。

2:バイオ由来と化石由来のミックス

最も代表的なバイオPETは、PETと名前にあるようにペットボトルなどの原料である「ポリエチレンテレフタレート樹脂」を石油由来ではなく植物由来で製造した原料です。石油由来の「ポリエチレンテレフタレート樹脂」はテレフタル酸(重合構成比70)とモノエチレングリコール(重合構成比30%)で製造されていますが、30%を占める「モノエチレングリコール」を、サトウキビの搾りかす(廃糖蜜)由来におきかえたものになります。

※近年では、100%植物由来のバイオPETも開発されています。

バイオマスプラスチックの種類

PVA:ポリビニルアルコール、PGA:ポリグリコール酸、PBS:ポリブチレンサクシネート、PBSA:ポリブチレンサクシネート-co-アジペート、PBAT:ポリブチレンアジペートテレフタレート、PETS:ポリエチレンテレフタレートサクシネート、PE:ポリエチレン、PP:ポリプロピレン、PET:ポリエチレンテレフタレート、PTT:ポリトリメチレンテレフタレート、PVC:ポリ塩化ビニル、PS:ポリスチレン、ABS:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、PC:ポリカーボネート、PBT:ポリブチレンテレフタレート、POM:ポリアセタール、PMMA:ポリメタクリル酸メチル、PPS:ポリフェニレンサルファイド、PA:ポリアミド、PU:ポリウレタン、PLA:ポリ乳酸、PHA:ポリヒドロキシアルカノエート、PHBH:3-ヒドロキシ酪酸・3-ヒドロキシヘキサン酸共重合ポリエステル

デメリットについて

生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックは環境に優しいというメリットがある一方で一般的なプラスチックよりも値段が割高で製品化するにあたっても製造コストが嵩むというデメリットがあります。

さらに、日本は農業自給率が低く、原料であるトウモロコシやサトウキビを輸入せざるを得ない現状があります。国内調達ができず原価が安定しない点も広く「バイオプラスチック」が普及できていない理由のひとつです。

また、欧米はゴミの廃棄方法が土壌が一般的であるのに対し、日本は可燃処理が一般的なため「ゴミの分解」に対して意識が低いこともあげられます。

マークについて

国内には、日本バイオプラスチック協会(社)日本有機資源協会が定めるマークがあります。当社では、それぞれの協会において審査をクリアした製品を製造しています。
マーク詳細については各協会の公式サイトをご覧ください。

生分解性プラスチックマーク 生分解性バイオマスプラスチックマーク バイオマスマーク
生分解性プラスチックマーク 生分解性バイオマスプラスチックマーク バイオマスマーク

バイオプラスチック製品「Amity™」シリーズについて

当社は1985年からバイオプラスチックの製造・開発を行っており、ブランド名「Amity™」として国内で高い評価を頂いております。

生分解性プラスチック製品の紹介

ストレッチフィルム

環境に配慮した生分解性プラスチック100%のストレッチフィルムです。ストレッチフィルムとしての性能や使い勝手は一般のポリエチレン製と変わりません。使用後も一般的なポリエチレンと同様の廃棄が可能です。

製品ページ:https://www.chukoh.co.jp/products/eco-products/stretch_film/

生分解性プラスチック製のストレッチフィルム

・コンポストバッグ(ごみ袋)

全国各地の自治体で、生ごみ用の袋を利用されています。特に農業地域では良質な堆肥作りにも役立っています。2005年の「愛・地球博」では会場内のごみ袋として採用されました。

生分解性プラスチック製のコンポストバッグ(ごみ袋)

・土嚢袋

土壌分解されるため、回収や産業廃棄物として処理の必要がありません。処理費用の削減に貢献できる製品です。

生分解性プラスチック製の土嚢袋

・ヤーン

土嚢袋など織物製品の元になる糸です。当社では製品だけでなく、糸だけもご提供可能です。

生分解性プラスチック製のヤーン

バイオマスプラスチック製品の紹介

・水切りネット

ポリ乳酸の抗菌効果によりシンクのヌメリを抑えた機能があります。伸縮性がある糸で柔らかく縫製が細かいので小さな生ごみもキャッチします。

バイオマスプラスチック製の水切りネット

・ショッピングバッグ

バイオマスを一部配合した袋です。PE製と遜色ない強度をもち、CO2の削減に繋がります。

バイオマスプラスチック製のショッピングバッグ

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