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超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)とは?特徴やメリット・デメリット、用途を解説

  • 製品コラム
  • 2023/04/13

超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)は、エンジニアリングプラスチックに分類されるプラスチックの一種です。
優れた耐久性と滑り性から、歯車(ギア)やガイドレールなどの機械部品やホッパーなどの素材に使用されています。弊社では、超高分子量ポリエチレン粘着テープを製造しています。
この記事では、超高分子量ポリエチレンの特徴や用途、ふっ素樹脂との違いについて解説します。

超高分子量ポリエチレンとは?

超高分子量ポリエチレン(Ultra High Molecular Weight Poly Ethylene)は、通常2~30万の分子量を100~700万まで高めたポリエチレンのことを指します。
正式名称の頭文字をとって、「UHMW-PE」や「UHMW」、「U-PE」、「UPE」と呼ばれることもあります。
超高分子量ポリエチレンは、熱可塑性樹脂に分類される合成樹脂であり、エンジニアリングプラスチックのひとつです。
優れた耐摩耗性と、ふっ素樹脂に次ぐ滑り性を持つため、歯車(ギア)やガイドレールなどの機械部品やホッパーなどの素材に使用されています。

超高分子量ポリエチレンの特徴(メリットとデメリット)

超高分子量ポリエチレンには以下の特徴があります。

●メリット

・滑り性・耐摩耗性に優れる

大きな特徴は滑り性と耐摩耗性に優れている点です。傷が付いたり削れる心配が少ないため、摺動用途として長く使用することができます。

・耐衝撃性に優れる

非常に高い耐衝撃性を持ち、ポリカーボネート (PC) を上回ります。

・耐薬品性に優れる

分子構造が安定しているため、耐薬品性にも優れています。そのため、液体や薬液を使用する環境下でも使用できます。

・吸水性に優れる

吸水率が0.01%以下と低く、水を使用する部分に最適の素材になっています。

●デメリット

・高温に向かない

超高分子量ポリエチレンの最高使用温度は一般的に80℃とされており、高温環境下での使用には向いていません。
ただし、低温環境下では-100℃まで使用可能とされています。

・線膨張係数が大きい

超高分子量ポリエチレンは線膨張係数が大きいため、急激な温度変化が起こる場所には向いていません。

・接着加工に向かない

自己潤滑性の高さから異素材料との接着が難しいため、他の部品や素材と組み合わせる際には、あらかじめ設計を工夫する必要があるので注意しましょう。

超高分子量ポリエチレンの主な用途

超高分子量ポリエチレンは優れた性質を生かし、さまざまな用途で使用されています。
主に、高い耐摩耗性と自己潤滑性を活かした用途で多く使用されています。

■歯車(ギア)
■ガイドレール
■ローラー
■ライナー
■食品機械
■ホッパー
■船舶用ロープ

超高分子量ポリエチレンテープの紹介

超高分子量ポリエチレンは、様々な用途で使用されますが、機械部品などの成形品以外にもフィルム、粘着テープに加工して使用されることも多くあります。
粘着テープとして使用すれば、部分的に、超高分子量ポリエチレンの特性を付与できるため、食品工場や搬送工程で簡単に使用することができます。
弊社では超高分子量ポリエチレンの粘着テープを製造しております。
「超高分子ポリエチレンの特性を部分的につけたい・・・」という方はぜひご検討ください!

■ AUE-112B
超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)フィルムを基材とし、片面にアクリル系粘着剤を塗布した、すべり性に優れた粘着テープです。
超高分子量ポリエチレン粘着テープ

■ AUB-112B※帯電防止タイプ
導電性カーボン入りの超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)フィルムを基材とし、片面にアクリル系粘着剤を塗布した粘着テープです。
超高分子量ポリエチレンテープ

これらの製品は、下記の用途で使用できます。

業界ごとの用途

【食品・物流】

食品・飲料工場や物流工場で使用するローラーコンベアのガイドに貼り付けることで、製品のつっかえを防止し、スムーズな製品搬送を実現します。さらに製品や、ガイドへの傷つきも防止します。
また、食品工場等で使用されるホッパーでは、材料投入部の傾斜に貼り付けることで材料がスムーズに流れ、ホッパー内の残留物を軽減することができます。

【自動車】

耐摩耗性、耐衝撃性に優れるため、自動車の部品としても使用されています。自動車用途としては、衝撃のかかる場所や滑り性が求められる用途で使用されています。

【その他】

滑り性が求められるスキーやスノーボード板や、OA機器の摺動箇所に使用されることもあります。

超高分子量ポリエチレンとふっ素樹脂との違い

超高分子量ポリエチレンとふっ素樹脂の違いを表にまとめました。
100℃~200℃の温度環境下で使用する場合は、ふっ素樹脂(PTFE)を検討してみるのも良いかもしれません。
素材を選定する際は、重要視する特性をあらかじめ決めた上で比較することをおすすめします。

超高分子量ポリエチレンとふっ素樹脂の特性
※表示データは代表値であり、品質保証値ではありません。

ふっ素樹脂についての詳細はこちらからもご覧いただけます。
超高分子量ポリエチレン粘着テープではなく、ふっ素樹脂の粘着テープを検討したい方は、下記の製品がおすすめです。

ASF-110FR
ふっ素樹脂(PTFE)フィルムを基材とし、片面にシリコーン系粘着剤を塗布した粘着テープです。耐熱性・滑り性・耐薬品性に優れています。

ASF-110FR

PTFE切削加工品

超高分子量ポリエチレン以外の成型品を検討している方には、お客様の仕様に合わせて加工用素材を種々の形状に切削加工したPTFE切削加工品のご提案も可能です。耐熱性、耐薬品性、非粘着性を持つ部品として幅広い分野で使用できます。

射出成形品
ふっ素樹脂をはじめとする各種機能性エンジニアリングプラスチックの射出成形品です。 豊富なノウハウで設計の段階から、適正成形品形状の提案が可能です。
代表的な実績例として、ふっ素樹脂(PFA,ETFE,PVDF,ETCFE)、エンプラ/スーパーエンプラ(PEEK,PSU,4-6PA,PPS,PEIなど)、汎用樹脂(PP,PE,PS,PVC,PBTなど)がございます。

まとめ

超高分子量ポリエチレンは優れた特徴をもつエンジニアリングプラスチックです。
滑り性と、耐摩耗性や耐衝撃性に優れるのが大きな特徴です。
100℃以上高温環境下での使用には向きませんが、使用可能な温度環境下での摺動用途、耐摩耗・耐衝撃性を求める用途におすすめの素材です。
また、超高分子量ポリエチレンテープは部分的に滑り性や高い耐摩耗・衝撃性を求める用途におすすめの製品です。まずは試してみたいという方はお気軽にお問い合わせください。

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