PEEKとは？特徴やメリット・デメリット、用途を解説

PEEKとは、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類されるプラスチックの一種です。
PEEKは非常に優れた物理的特性を持ち、熱に強く、化学的に安定で、機械的に強靭です。そのため、様々な産業分野で使用されており、医療機器、航空宇宙産業、自動車産業、化学産業などで広く使われています。この記事では、PEEKの特徴や用途について解説します。

目次
・PEEKとは？
・PEEKの特徴（メリットとデメリット）
・PEEKの種類
 ・PEEKの主な用途
 ・PEEK製品の紹介
 ・まとめ

PEEKとは？

PEEKとは、ポリエーテルエーテルケトン(Poly Ether Ether Ketone) の略称で、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類されるプラスチックの一種です。正式名称の頭文字をとってPEEK（ピーク）と呼ばれています。
PEEKは、熱可塑性樹脂に分類される芳香族ポリエーテルケトン（PAEK：Polyaryl Ether Ketone）とよばれるポリマー群の1種です。
PAEKというポリマー群は、アリール基・エーテル基・ケトン基から構成されており、その組み合わせや配列により、樹脂の種類や特性が異なります。PEEKは、エーテル基とケトン基で結合した構造になっています。

耐熱性、耐薬品性、耐熱水性、難燃性、力学的特性、電気的特性に優れており、医療機器、航空宇宙産業、自動車産業、化学産業など様々な産業分野で使われています。

PEEKの特徴（メリットとデメリット）

PEEKには以下の特徴があります。ここでは、それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説します。

●メリット

・耐熱性に優れる
PEEKの耐熱性はスーパーエンジニアリングプラスチックの中でも特に優れています。連続使用温度は260℃程度と言われており、融点は343℃と非常に高いです。
さらに、PEEK樹脂は熱水やスチームに対しても耐性があるため、スチーム滅菌も可能です。

・機械的特性が高い
PEEKは、高温環境下でも引張強度や耐衝撃性に優れています。
ガラス繊維や炭素繊維を添加することで強度のグレードを上げることもできます。

・耐薬品性に優れる
PEEKは、耐薬品性に非常に優れています。ほとんどの酸やアルカリ性に耐性を持っていますが、濃硫酸には侵されるため注意が必要です。
さらに、高温環境下でもこれらの薬品に耐性を持っていることは、PEEKの特徴の一つです。

・食品安全性が認められている
PEEKは、日本の食品衛生法や米国FDA（食品医薬品局）などの規格を満たしており、食品接触用途にも使用できます。

・難燃性に優れている
PEEKは、燃焼時の発煙や有毒ガスの発生が極めて少ない難燃性の素材であることも特徴の一つです。

●デメリット

・強度が非常に高いため、切削加工や切断加工が難しい
PEEKは、機械的強度の高い特長を持つことが特徴ですが、それゆえに切削加工や切断加工が難しいことがデメリットとして挙げられます。

・コストが高い
PEEKは、生産コストがかかり作りづらい樹脂のため、コスト面の負担がかかります。

PEEKの種類

PEEKには、様々なグレードが存在しています。一般的に「PEEK」と呼ばれるものは基本グレードとなっています。ここでは、その他のグレードについて紹介します。

・摺動グレード
基本グレードに炭素繊維・グラファイト・PTFEを充填した摺動性に優れるグレードです。
基本グレードよりも摺動性・耐摩耗性に優れています。
軸受等の摺動目的の製品に使用されます。

・ガラス繊維強化グレード
基本グレードよりも剛性、寸法安定性、耐クリープ性に優れています。静的荷重のかかる場所に使用されています。

・導電グレード
基本グレードに炭素繊維を充填することで、導電性を付与できます。静電気やほこりを嫌う場所で使用されています。

PEEKの主な用途

PEEKは、優れた機械的特性を持つことから、医療機器、航空宇宙産業、自動車産業、化学産業などで使用されています。このような特徴を持つことから、軽量化、性能向上を目的として金属の代替として使用されることもあります。
医療分野では、PEEKの体内で無毒かつ不活性で生体適合性が高いことから、注射針やインプラント、義歯などにPEEKが使用されています。